日本の伝統産業「組紐」

組紐とは

【組紐とは】
組紐は、現代において、着物の帯締めとして使われていることが多い和装小物の紐です。昔は着物の帯締めではなく、装飾品でした。そもそものルーツは、お殿様、お姫様の頭の飾りに使われていたり、色々な小物として使われていた時代からスタートしています。

【組紐の定義】
組紐屋が三つ編み以上の編み方で作ったものが組紐として定義されています。長さとしては、主に着物に使うものは大体150センチ。浴衣など、飾り紐として使う場合は1メーター30センチ。それぞれの種類に応じて、長さが特徴づけられています。
普通の紐と特徴が違うのは、様々な組み方によって色々な組目が表現されております。伊賀組紐は、様々な色を使った色鮮やかな組紐で織られているのが特徴です。

【組紐の使用用途】
戦国時代に武器の刀などに巻く紐として使われたのが発祥と言われています。その後、着物として一般的に使われるようになりました。
現代では着物の帯の上に巻く帯紐として使うのが100%メジャーな使い方ですが、組紐のルーツとしては和装小物という形からスタートしているのが組紐の始まりです。その原点に立ち返り、現代では小物としての魅力をもう一度発信し、組紐を様々なシーンでの活用に取り組んでいます。

【組紐の特徴】
丈夫で切れにくいこと。余程の負荷がかかることがない限り、ほぼ切れないクオリティであることです。丈夫ということが特徴で、その中に各組紐店の様々な考え抜かれた
組紐の配色が混ざり合い、芸術品の一本紐になっています。

【組紐を使うメリット】
着物に普通の紐を使うのと異なる組紐を使用するメリットは、帯の上に巻いてる紐ではあるのですが、組紐が無ければ、着物として成り立たない重要な役割を担っています。閉まらない部分をしっかりサポートする縁の下の力持ち的な存在です。そして、通常の紐を巻くのではなく、お洒落な組紐を巻くことにより、高価な着物が組紐の演出により、更に超高価な、高級な物へと引き立て、華やかに演出するのが、 組紐の面白いところです。

【組紐のルーツ】
組紐の一番のルーツを辿ると、機械での織り始めは奈良時代からでした。ではそれ以前はどうしていたかというと、単なる一本の紐でしたら、着物の上とかにつけてもせいぜい、髪の毛の太さぐらいしかないので紐としては役に立ちませんでした。ですが、これを太古の人たちがどのようにしていたかというと、髪の毛くらいの太さの紐を何本も編むところから始まり、そういう紐の編み方は、あやとりの原理を使っていました。指に紐を何本もかけて、あやとりみたいにして組んでいったところから、組紐の原点ができたのです。

【圧倒的なクリエイティヴ力を放つ組紐の魅力】
組紐と他の紐との違いは芸術性の一言と言っても過言ではない。
極論で言うと、ホームセンターで売ってるロープみたいな紐も組紐の機械で織れる訳ですが、組紐はただのロープではなく、色々な組目が発展していき、高度な技術で組まれることで、多種多様な綺麗な色が入り、一つの芸術品として成り立っています。

 

PROFILE

松田智行 株式会社糸伍 代表取締役
三重県伊賀市鉄砲町で、昭和29年から機械織りの組紐を製造しています。製鈕機、トーション、織機と幅広い機械のバリエーションで、年間8万本以上の組紐を製造を致しております。昭和から受け継ぐ古き良き機械に、糸伍の魂を込めて製造しています。帯締め以外の使い方も日々研究して、他業種の皆様とコラボレーションしています。

伝統的な組紐

新たな挑戦! 組紐技術の応用

【組紐の魅力】
美しく染め上げられた絹糸、その一筋一筋が交じり合い、組み独特の風合いと、味わいを醸しだします。伊賀くみひもの特徴は、色とりどりに染められた絹糸の1本1本が光に映え、交わりあって輝く美しさです。
しかし、昨今の着物離れ、少子化による新成人の減少。そしてコロナ禍で、販売イベントの中止など、大変厳しい状況下にある組紐業界。コロナ渦で売り上げが前年度の9割減になり大変厳しい状況の中、以前から和装小物として開発していた組紐マスクを販売。
和装した時に不織布マスクをするのではなく、組紐で作られた和の心をもったマスクが和装の世界で広がりつつあります。

【組紐ができること】
奈良時代には組み帯などの男女の礼服として普及、鎌倉時代には武具の一部、安土桃山時代には茶道具の飾り紐として使われた組紐。江戸時代には武具や刀剣の飾りとして、武士達の美的センスを示すアイテムのひとつとされ、今日のように、女性の装いの帯締めとしての用途にも使われるようになったのは江戸時代末期のことです。
この、時代に合わせた柔軟性こそが組紐が数百年の歴史を持つ強さです。
今の時代、組紐は新たな可能性を秘め、日々進化しているのです。

【新たな商品の開発】
組紐は美しさだけでなく、実用面での大きな特徴として、伸縮性があり、結びやすくて、解けにくく、切れにくいという特性を持っています。
この特性をを生かした、時代に合わせた製品の開発が組紐の歴史を物語っています。
コロナ渦の中、糸伍が商品化した組紐マスクは今の時代に必然的に誕生しました。
まさに時代と共に生きて来た伊賀組紐。新たなる挑戦こそが伊賀組紐の未来につながっているのです。